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2026年版:LangChainとPythonでRAGを構築する手順とAgentic RAGへの進化

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ヨミアゲAI編集部

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2026年3月現在、RAG(Retrieval-Augmented Generation)の構築は、概念実証(PoC)の段階を超え、運用環境での高精度・高信頼性を追求するフェーズに移行しています。LangChainとPythonを組み合わせることで、この要求に応えるスケーラブルでメンテナンス性の高いRAGアプリケーションを効率的に構築できます。特にLCEL (LangChain Expression Language)LangGraphは、現代のRAGシステム開発において不可欠な要素となっています。

LangChainは、最新安定版として0.2.xシリーズが主流であり、一部のプロダクション環境ではv1.x系も広く利用されています。Pythonはバージョン3.8.1以降が推奨され、Pydanticに関しては2024年6月にPydantic 1のサポートが終了したため、Pydantic 2が完全にサポートされています。

項目 推奨バージョン (2026年3月時点) 補足
Python 3.8.1 以降 Pydantic 2との互換性確保のため
LangChain 0.2.x シリーズ または v1.x LCEL、LangGraph対応版
Pydantic 2.x Pydantic 1は2024年6月にサポート終了

LangChainとPythonによるRAG構築ステップバイステップ

1. 環境構築と必要なライブラリのインストール

RAGシステムを構築するために、まず必要なライブラリをインストールします。LangChainの各コンポーネントはモジュール化されており、必要なものを選択してインストールします。

pip install langchain-core langchain-community langchain-openai pypdf chromadb tiktoken pydantic~=2.0

⚠️ 注意: pydantic~=2.0を指定することで、Pydantic 2.x系の最新バージョンがインストールされます。Pydantic 1.x系はLangChainの最新バージョンでは非推奨またはサポート対象外となるため、必ずPydantic 2.xを使用してください。

上記はOpenAIのLLMとChromaDBを例にしていますが、利用するLLMプロバイダやベクトルストアに応じて適宜変更してください。

2. ドキュメントの準備とベクトルストアの構築

RAGの心臓部となるドキュメントの準備とベクトルストアの構築を行います。

  1. ドキュメントの読み込み: PDFファイルやテキストファイルなど、RAGのソースとなるドキュメントを読み込みます。

    from langchain_community.document_loaders import PyPDFLoader
    
    loader = PyPDFLoader("path/to/your/document.pdf")
    docs = loader.load()
    
  2. テキスト分割 (Text Splitting): 読み込んだドキュメントを適切なサイズのチャンクに分割します。これは、LLMのコンテキストウィンドウに収め、関連性の高い情報を効率的に検索するために重要です。

    from langchain_text_splitters import RecursiveCharacterTextSplitter
    
    text_splitter = RecursiveCharacterTextSplitter(
        chunk_size=500,  # 例: チャンクサイズ500文字
        chunk_overlap=50 # 例: オーバーラップ50文字
    )
    splits = text_splitter.split_documents(docs)
    

    💡 ポイント: chunk_sizechunk_overlapは、ドキュメントの内容やLLMの特性に合わせて調整が必要です。一般的に、chunk_sizeは500〜1000文字程度、chunk_overlapchunk_sizeの10〜20%程度が推奨されます。

  3. 埋め込みモデルの選択とベクトルストアへの格納: 分割されたテキストチャンクを数値ベクトルに変換(埋め込み)し、ベクトルストアに保存します。

    from langchain_openai import OpenAIEmbeddings
    from langchain_community.vectorstores import Chroma
    
    # 埋め込みモデルの初期化 (OpenAI APIキーが必要)
    embeddings = OpenAIEmbeddings()
    
    # ベクトルストアの構築
    vectorstore = Chroma.from_documents(
        documents=splits,
        embedding=embeddings,
        persist_directory="./chroma_db" # 永続化する場合
    )
    retriever = vectorstore.as_retriever()
    

3. LCELを用いたRAGチェーンの構築

2024年5月にリリースされたLangChain v0.2以降、**LCEL (LangChain Expression Language)**はRAGチェーン構築の公式推奨パターンとなりました。LCELを用いることで、モジュール性が高く、最適化されたチェーンを少ないコードで記述できます。

from langchain_openai import ChatOpenAI
from langchain_core.prompts import ChatPromptTemplate
from langchain_core.runnables import RunnablePassthrough
from langchain_core.output_parsers import StrOutputParser

# 1. LLMの初期化
llm = ChatOpenAI(model="gpt-4o", temperature=0) # 例: GPT-4oモデルを使用

# 2. プロンプトテンプレートの定義
template = """あなたは質問応答システムです。与えられたコンテキストのみを使用して質問に答えてください。
もしコンテキストに情報がない場合は、「コンテキストに情報がありません。」と答えてください。

質問: {question}
コンテキスト: {context}
回答:"""
prompt = ChatPromptTemplate.from_template(template)

# 3. RAGチェーンの構築 (LCELを使用)
rag_chain = (
    {"context": retriever, "question": RunnablePassthrough()}
    | prompt
    | llm
    | StrOutputParser()
)

# 4. チェーンの実行
question = "RAGの構築においてLCELが推奨される理由は何ですか?"
response = rag_chain.invoke(question)
print(response)

💡 ポイント: LCELでは|演算子を使ってコンポーネントを結合します。RunnablePassthrough()は入力値をそのまま次のステップに渡すためのRunnableです。この構造により、チェーンの各部分が独立してテスト・デバッグ可能となり、非常に高い柔軟性とメンテナンス性を実現します。

Agentic RAGへの進化とLangGraphの活用

2026年現在、RAGは単一の検索・生成プロセスから、複数のツールやエージェントが協調して動作するAgentic RAGへと進化しています。この複雑なワークフローを構築するために、2025年に安定版となったLangGraphが推奨されます。

LangGraphは、状態を持つエージェントシステムを構築するためのライブラリで、複数のエージェントが協調し、思考プロセスを反復しながら最適な回答を導き出すような、本番環境での高信頼性エージェントの構築を容易にします。例えば、最初の検索で情報が見つからなかった場合に、別のツール(Web検索など)を使用するエージェントにタスクを渡したり、ユーザーの意図を明確にするために質問を繰り返すエージェントを組み合わせたりすることが可能です。

LangGraphを活用することで、以下のような高度なRAGシステムが実現できます。

  • 自己修正能力: 回答の品質を自己評価し、必要に応じて検索や生成プロセスを再実行する。
  • マルチモーダル対応: テキストだけでなく、画像や音声などの情報をRAGプロセスに組み込む。
  • 複雑な意思決定: ユーザーの質問に対して、複数の情報源や視点から分析し、総合的な回答を生成する。

Agentic RAGは、特に企業内のナレッジベースや顧客サポートシステムなど、高い精度と信頼性が求められるユースケースでその真価を発揮します。

まとめと今後の展望

2026年におけるLangChainとPythonを用いたRAG構築は、LCELによる効率的なチェーン構築と、LangGraphによるAgentic RAGへの進化が中心的なテーマです。これらの技術を活用することで、従来のRAGでは難しかった高精度かつ複雑な情報処理を可能にし、運用環境での要求に応えるシステムを構築できます。

RAGシステムの性能を最大限に引き出すためには、継続的な評価と改善が不可欠です。埋め込みモデルの選択、テキスト分割戦略、プロンプトエンジニアリング、そしてLangGraphによるエージェントの設計が、RAGシステムの精度とユーザー体験を大きく左右します。今後もLangChainエコシステムの進化に注目し、これらの技術を積極的に取り入れることで、より高性能なRAGアプリケーションの実現を目指しましょう。

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